興味本位で読んだ犯罪心理学の入門書「プロファイリング」をまとめた。
2,3年前。BS放送のDLifeで『クリミナルマインド』がやってたので見てた。
異常犯罪を突き止めるために用いられる「プロファイリング」。
気になったので本を買って勉強したけど、勉強内容をどこにも出してなかったので、今回はこちらについて記載する。 なお、今回のまとめにあたり、章の順番などについては無視している。
※異常犯罪の性質上、不快な表現を直接的に用いてるので、苦手な人はブラウザバックしてください。
🤔プロファイリングとは
✔目的
以下の情報を刑事司法システムに提示する事。
- 犯人の社会的・心理学的評価
- 容疑者の所持品の心理学的鑑定
- 逮捕された容疑者を尋問のための参考意見と戦略
✔空想と現実
プロファイリングは様々な作品で取り上げられている。 (シャーロックホームズ、レッドドラゴン、ゾーイコウラー、など)
プロファイリングが最も威力を発揮するのは、未知の犯人が精神異常を示しているような事件。 (内臓の抉り出し、四肢切断、レイプ、放火、小児性愛、など)
そのどれもが非現実的なものと認識されているかもしれないが、現実的にはかなり正確なものである。 しかしながら実際は、プロファイリングにより捕まる事より、別要因で捕まる事の方が多い。 (被害者が目撃した、別事件で捕まった、など)
✔学術的原因論と理論的根拠
様々な角度からの原因論が挙げられ、それぞれが統合する事で真価を発揮する。
- 心理学:知能障害、人格的特徴、思考パターン、性格的欠陥
- 精神医学:無意識の葛藤による症状(超自我の外傷(過剰発達?未発達?))
- 社会理論:有機的社会から機械的社会への近代化、社会と個人の間の緊張、無秩序への適用
- 地理学:相対的で多岐に渡る距離感(移動手段、道中への魅力や知識、心的障害による別ルート、実際の距離)
人格は、「生物学」「文化」「環境」「共通体験」「独自体験」の五要素が寄与して構成される。
人格は、犯行現場に現れ、犯行手口は類似し、手口から見える目印も変わらない。
人格は、時が経っても基本的には変わらないため、本質的であり、捜査の手助け=根拠となる。
(例:快感や自信が増すたびに、地理的な活動範囲は広くなったり、捜査状況がバレてしまうと犯行場所の置換えも発生するが、本質的な人格を理解していると移動場所が推測できる)
😈プロファイリングにおける加害者
✔秩序型/非秩序型
「秩序型」か「無秩序型」かを探る事が、最初のカギとなる。
- 秩序型
- 知能が高く、社会にも適応し、妻子もおり、捜査にも協力的
- 尋問は、細部について確信をもって直接的に行う
- 無秩序型
- 犯行を計画する能力が低く、物的証拠も残しがち
- 尋問は、カウンセラーのように同情を示し、情報をほのめかすように行う
✔連続殺人
類型として、以下に分類される。
- 幻覚型:神や悪魔による幻視や幻聴。無秩序型に多い。
- 確信型:特定集団の皆殺し(娼婦、カトリック、など)、ストーカー気質は秩序型
- 快楽型:暴力と性欲の結びつきが強い。過程を重視。享楽型は女が多い。
- 権力・支配型:被害者を屈服させるのが目的。絞殺が多い。
連続殺人を行う思考のサイクルは、以下のように繰り広げられる。 (犯罪が進行すると、人格が変化し、計画性が失われ、サイクルが早くなり、残虐性が増す)
- 歪曲された思考
- 自己像の崩落
- 心理的反応
- 行動的反応(殺人)
- 地位回復
- 最初に戻る
- 地位回復
- 行動的反応(殺人)
- 心理的反応
- 自己像の崩落
犯行現場の補足要因として、以下が挙げられる。
- 「目隠し」「顔面殴打」は、非人間化させるために行う
- 「処分」「四肢切断」「拘束」「偽装工作」は、秩序型の傾向
- 「形見」「戦利品」を持ち帰っている可能性
✔放火
ギルベートによる「火災のタイプ」は以下の通り。
- 自然作用
- 失火
- 原因不明
- 不審火
- 放火
マシーによる「放火の理由/目的」は以下の通り。
- 組織的犯罪
- 火災保険
- 住宅詐欺
- 商業的営利
- 心理的
ライダーによる「放火犯の分類」は以下の通り。
- 妬みに動機づけられた成人男性
- ヒーロー志向
- 興奮放火犯
- 放火狂
ダグラスによる「放火犯のカテゴリ」は以下の通り。
- 破壊
- 興奮
- 復讐
- 利益
- 隠蔽
- 政治
✔レイプ
『レイプ』とは、他社の意思に反して力づくで性交をする暴力犯罪。
犯罪者の家庭は、支配的でサディスティックな母と、無関心で受け身な父である事が多い。
類型として、以下に分類される。
- パワー確認:目的は自尊心を高める事。低能で自己評価も低い。理解を示す尋問が適切。
- 報復:目的は女性を傷つける事。有能だが気性が荒い。婦人警官による尋問はNG。
- 搾取:男性としての優越感を表現・派手で暴力的。秩序型なため事実を明確にして尋問すべき。
- サディスト:性的・攻撃的空想の表現。強迫的人格であり、レイプ7つ道具を持つ。ラポールを築く折衝的な尋問。
報告に暗数が多い理由として、以下が挙げられる。
- 羞恥心
- 報復の恐れ
- 汚名
- 警察や裁判への信頼感の欠如
✔小児性愛
『小児性愛』は、思春期以前の子供との性行為により性的興奮に達する。
類型として、以下に分類される。
- 状況型
- 退行:自尊心が傷付けられるなどにより、未知の子供を一過性で襲う
- 道徳的無差別:手近にいるあらゆる人が対象で、子供に限っていない
- 性的無差別:性的なあらゆる実験をしたいだけで、子供に限っていない
- 単純:精神障害があり、これにより正常な判断ができていない
- 性癖型
- サディズム:性的満足と暴行が結び付いており、愛情は存在せず、優越感に浸り、殺す
- 誘惑:子供に求愛し、子供からの愛情を待ち望む。精神が成長していない
- 固着:支配しやすくて文句も言わない子供を選ぶ。愛しているが害しはしない
😥プロファイリングにおける被害者
加害者の心的・性的な癖や恐怖などが、被害者の傾向として現れる。
- 身体的外観の一致性(赤髪を持つ、娼婦に似ている、元嫁に似ている、など)
- 知能レベルの一致性(同程度の友人と交流している可能性)
- ライフスタイルの変化(好きで引越したのか、追われて引越したのか)
😶最後に(余談)
「異常犯罪なんて勉強して何になるの」と言われた事があるが、仕事で役に立つ事がある。 上司や部下の背景を知る事で、どういう思考をする人で、今後どのような行動を起こす人なのかが何となく見えてくる。
そういった対人スキルの一つとしてプロファイリングは有効に使えると、本書を通じて感じた。
本書にも「プロファイリングは全ての人に利用できる」との一節があるが、まさにその通りである。