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努力と怠惰の狭間

『一般気象学』から学ぶ「地球の成り立ち」と「大気の鉛直構造」について

先日投稿した『「天文学入門 星とは何か」を読んだけどよく分からなかったので調べ直した。』。

宇宙という大きなスケールの話をまとめたが、今回は我々の生きる地球について。

www.utp.or.jp

本書はあまりにも情報量が多過ぎるので、一気にまとめずに適当に分割してまとめていく。

なお、今後は以下についてまとめ記事を書いていく予定。(順不同)

  • 力学
  • 熱力学
  • 地球大気の鉛直構造
  • 地球大気の熱収支
  • 地球大気の運動
  • 地球大気の観測
  • 降水過程
  • 気象予報
  • さまざまな気象現象
  • さまざまな気象災害
  • さまざまな気象情報

 

🌎地球の成り立ち

おさらい:太陽の誕生

  • 前回のエントリーの通り、まずは塵やガスが集まって星雲を作り、星雲が自己重力によって縮む事で「原始星」が誕生。
  • 原始星の中心温度が1千万度に達すると核融合反応が起き、そこから生み出されるエネルギーによって光り輝き「恒星」となる。
  • この恒星が「原始太陽」。原始太陽に取り込まれなかった塵やガスは周囲を取り囲んでいる状態となり、「原始太陽系星雲」よ呼ばれる。

原始地球の誕生

  • 原始太陽系星雲のゆらぎや回転運動によって、「原始惑星」が誕生
  • 太陽と同じように接触・衝突・集積を繰返す事で、現在の8つの惑星(水星・金星・地球・火星・木星土星天王星海王星)が誕生

原始海洋の誕生

  • 原始地球に惑星落下や火山爆発によって、脱ガスが発生し、水蒸気が発生。
  • やがて惑星衝突や火山活動が減り、表面温度が下がる。
  • 表面温度が下がると、水蒸気が冷やされ、降水が発生し、「原始海洋」が誕生。

【補足】
脱ガスの組成は、水蒸気88%、二酸化炭素6%、窒素2%、硫黄1~2%、鉄1~2%、塩素0.3%、その他0.1%以下・・・・・現在の地球大気とほぼ同じ。

原始大気の誕生

  • 脱ガスにより発生した硫黄や塩素の化合物が海に溶け込んだため、原始海洋は酸性であった
  • 空気中の酸性成分が海に溶けたため、「CO2」「N2」が残った
  • まだ降水過程にあったため、岩石や鉱物に含まれるCa、Mg、Na、Kが海に流れ込み、酸性の海が中和される
  • 中和された海に、空気中のCO2が溶け込む
  • CO2とCaが反応して、「炭酸カルシウム」を形成(海底に石灰岩として沈降している)
  • H2O(水蒸気)は紫外線によって光解離して、Hは地球外に出ていき、O2は岩石や鉱物の酸化に使われた(この時点では空気中に酸素は存在しない)

【補足】
地球の炭素は海底の炭酸カルシウムでほぼ固定されている。金星や火星にはCO2が多くて人間は住めないが、地球のように海洋を持っていれば変わっていたかもしれない。地球が「水の惑星」と言われるのが納得できますね。

現在の大気構成の誕生

  • 海洋中の炭素や窒素やリンからアミノ酸が生成されて、アミノ酸からバクテリアが生成
  • バクテリア原核生物であるため自己増殖し、進化し、光合成のできる「シアノバクテリアが誕生
  • シアノバクテリアより発生した酸素によりオゾンが生成されてオゾン層が発達
  • オゾン層で紫外線が吸収されるため、紫外線量が減り、生物の繁殖範囲が広がる(過度な紫外線は細胞核の染色体を破壊して細胞増殖を不可能にする)
  • 生物が更に活発になると、光合成も活発になり、更に酸素量が増え、更に紫外線も弱まる
  • 現在から3億8000年前には森林も登場し、酸素量も安定した

 

⛅地球の鉛直構造

「垂直」はある線や面に対して90度をなす方向であるが、「鉛直」は重力の方向を示す。 (鉛に糸をつけて木の板に垂らす。板が真横であれば糸も90度であるが、板を傾けると糸の角度は変わる。しかし鉛は常に同じ位置にある。この「板に対する糸の方向=鉛直方向」という。)

今回は地球の外側から内側にかけて説明していく。

外気圏

  • 厚さ
    • 地上800km~約10000km
  • 温度
    • 概念としては高温(分子は活発に動き回ってるので概念としては高温だが、空気が稀薄であり分子の絶対量が少ないので体感としては熱さを感じない)
  • 特徴
    • 空気が希薄なので、原子・分子が他とぶつかる事も稀
    • 地球の引力を振り切って宇宙に脱出する原子・分子も存在する(脱出速度。計算式あり)

熱圏

  • 厚さ
    • 地上80km~約800km
  • 温度
    • 概念としては高温(分子は活発に動き回ってるので概念としては高温だが、空気が稀薄であり分子の絶対量が少ないので体感としては熱さを感じない)
  • 特徴
    • 「大気組成」について
      • 重力による分離により、分子よりも原子の形で存在
      • この原子が太陽放射の0.2μm以下の紫外線やX線などを吸収し、電離する事で、高温になる(「光解離」により分子が原子に、「光電離」により原子が電子とプラスイオンに)
    • 「電離層」について
      • 紫外線を吸収する事で原子が電離する。電離すると電子とプラスイオンになり、この密度が高いところが「電離層」と呼ばれる
      • 高さによる違い
        • D層:地上60km~90km
        • E層:地上90km~130km
        • F1層:地上150~220km
        • F2層:地上220~800km
      • 電離層で生じる現象
        • オーロラ:E層に存在する原子と、太陽から放射した荷電粒子が衝突して発光
        • 電波信号:地上から発信された電波は、電離層で屈折し地上に届く(屈折度合は「電子数密度」「電波の波長や周波数」で決まる)
        • 通信障害:デリンジャー現象と呼ばれる。太陽の活動が活発になると電離も増加するため、通信中断などが発生する(短波への切替により回避可能)

中間圏

  • 厚さ
    • 地上50km~約80km
  • 温度
    • 高度と共に下降する(酸素分子量が少なく、太陽エネルギーを吸収する力がないため)
  • 特徴
    • 大気組成は対流圏~中間圏まではほぼ同じ
    • 熱圏以上になると重力による分離がはじまり、大気組成は軽い分子・原子の割合が増えていく

成層圏

  • 厚さ
    • 地上11㎞~約50㎞
  • 温度
    • 高度と共に上昇する(オゾン層により太陽エネルギーを吸収しているため)
  • 特徴
    • オゾン層について
      • オゾン濃度が高いのは20~25km付近。紫外線濃度が高いのは上部であるため50km付近が一番熱い
      • オゾン生成・消滅の化学反応は「チャップマン反応」と呼ぶ
      • 0.2~0.3μmの紫外線は、オゾン層により吸収される
    • 成層圏という名前」について
      • 空気の層が安定してると思われていたので「成層圏」と呼んでた
      • しかし、成層圏における突然昇温が観測されたため「名ばかり」になってしまった(プラネタリー波によるものであり、偏西風の波動が影響している)

対流圏

  • 厚さ
    • 地上0㎞~約11㎞
  • 温度
    • 1kmあたり約6.5℃減少する(乾燥断熱減率および湿潤断熱減率の関係)
  • 特徴
    • 断熱膨張や降水過程など様々な運動により圏内の空気がかき混ぜられる
      • 自由大気:地上1.5km以上。地上や海上の摩擦の影響などをあまり受けない。
      • 移行層:地上1.5km程度。ほぼ雲底と同じ高度。エクマン層による対流と自由大気による抑圧を受け、空気が入れ替わっている。
      • エクマン層:地上50m~1.5km程度。昼間は対流混合層が現れ、夜間は安定境界層が現れる。
      • 接地層:地上0~50m程度。気体は流体であり摩擦が生じるためあまり変化が現れない。
      • キャノピー層:接地層と同じ位置であるが、ビルや森林などにより異なる性質を示すためこの名を用いる。

 

まとめ

今回は一旦ここまで。

マクロからミクロを見ていく事で興味の幅を持たせつつピンポイントで調べる事ができるなと最近感じている。他分野の学問でも仕事でもそうだけど。

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http://www.utp.or.jp/book/b307170.html