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映画「ミスト」で考える新型コロナウイルス感染症(COVID-19)


※本エントリーには映画「ミスト」のネタバレがあります。※
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※本エントリーには映画「ミスト」のネタバレがあります。※


昨晩、数年ぶりにスティーブン・キングの「ミスト」を観た。

スーパーの中で起きるパンデミック

現代社会の新型コロナウイルスにも当てはめられるのではないだろうか。



映画「ミスト」の大まかな流れは、以下のような感じだ。

  • ある日、嵐が発生。
  • ミストが確認され、再度嵐が発生するかもしれないので、買占めが発生。
  • ミストが濃くなり、スーパーから出られなくなる。
  • 触手の登場により、現実逃避組と現状理解組に分裂。
  • 弁護士率いる現実逃避組が外に出て殺される。
  • イナゴの大群が現れ、現状打破組と過激派宗教に分裂。
  • 過激派宗教による陰謀論が蔓延する。
  • 現状打破組が小さな命を救うために多くの命を危険に晒す。
  • 過激派宗教による贖罪が行われる。
  • 現状打破組が逃げ出すが、逃げ切れず自害する。
  • もう少し耐えていれば助けが来る事を知る。

ミストは感染症ではないが、精神崩壊を招くという意味ではある種の伝染病(パンデミック)と言えるかもしれない。



そして、新型コロナウイルスについても同じ事が起きていると考えられる。

  • ある日、世界のどこかでコロナが発生。
  • 日本でもクルーズ船での感染確認を皮切りに、マスクなどの買占めが発生。
  • 徐々に日本全国に感染が広がっていき、遂に緊急事態宣言が発令される。
  • この頃には「コロナと共存」というWithコロナ組と、「コロナは風邪」という過激派団体が現れる。
  • 「発生源は中国」「5年前にビルゲイツが言い当てた」という陰謀論も蔓延する。
  • 飲食業界や旅行業界を助けるためにGoToイートやGoToトラベルが施行され、更に感染が広がる。

・・・・・この先のストーリーについては、誰も分からない未知の世界。


「コロナはお前のせいだから贖罪を受けろ」とか、「コロナで死ぬくらいなら自害してやる」というのは考えづらいが、もしかしたら発生するかもしれない。

飲食業界や旅行業界が小さな命とは思わないが、結果的に感染拡大を招いてしまったし、それが果たして正しい判断だったのかも分からない。

全てはこの新型コロナウイルスの結末を観てみないと分からない。。。



本作中には、以下のセリフがある。

解決策を示す人物に見境なく従ってしまう。 人間は根本的に異常な生き物。 だから政治と宗教がある。

恐怖にさらされた人間は、短絡的な判断に陥りやすい。 そんな時に力を持つのが政治や宗教。たとえ過激であっても・・・。

しかし、政治や宗教が正しいかなんて分からない。 なので、自分自身が正しいと思える指標で行動する事が大切である。


また、主人公の息子が以下のセリフを言う。

「僕を怪物に殺させないで」

もし息子がコロナに罹患し、コロナに殺された場合、コロナを一生恨むだろう。

コロナを恨んで生きていくくらいなら、息子を殺して自分も死にたいという気持ちも、分からなくはない。



最後に、本作の主人公は首尾一貫して勇気と正義のある人物であったが、一つだけ問題があると僕は考えている。

それは、小さな命を助けようとした事だ。


もちろん小さな命を救う事は立派な事であるが、パンデミックのような状況においては異なると考える。

火傷した他人の命を救うため、健康で勇敢な人を連れて抗生物質を取りに行く必要はあったのだろうか。

彼は「ひと思いに頼む」と懇願しているし、外は化け物だらけだし、彼には申し訳ないが、その命を救うために多くを犠牲にする必要は本当にあったのだろうか。


パンデミック状態においては、正常な判断を失ってしまう。

だからパンデミックは恐ろしい。


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https://en.wikipedia.org/wiki/The_Mist_(film)