頑張らないように頑張る。

努力と怠惰の狭間

「心理的安全性」を高めるために、テレビ番組のMCを真似てみる。

心理的安全性とは

1999年にハーバード大学の組織行動学者であるエイミー・エドモンドソンが「Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams」という論文を発表した。


2016年にGoogleのリサーチチームが「心理的安全性を高めると、チームのパフォーマンスと創造性が向上する」という事を発見・発表した。


心理的安全性」という言葉が世に出るようになってから間もなくしてコロナ禍となり、今までとは異なるコミュニケーション体系を取る事を余儀なくされ、必然的に概念が広まっていった。


論文のINTRODUCTIONを読んだので要約してみた

昨今はVUCAな時代である。

  • Volatility : 変動性
  • Uncertainty : 不確実性
  • Complexity : 複雑性
  • Ambiguity : 曖昧性


VUCAな時代を生き抜くには、以下のような行動が必要となってくる。

  • 質問する
  • 助けを求める
  • 実証されていない行動を試す
  • フィードバックを求める


しかし、上記の行動には、以下のような不安要素を抱えるリスクが介在している。

  • Ignorant : 無知だと思われる不安
  • Incompetent : 無能だと思われる不安
  • Negative : 否定的だと思われる不安
  • Disruptive : 破壊的だと思われる不安


組織では多かれ少なかれ評価が行われており、評価の脅威によって上記の不安要素を更に深刻化させている。
そのため、リスクを回避して評価を受けるために、上記の行動を起こさないという選択が取られてしまう。


上記のリスクを冒すのに適した職場環境である事を認識する指標として「心理的安全性」という言葉を用いている。
心理的安全性が高く、リスクを冒せる職場では、以下のようなことはないと信じられている。

  • 自分が間違いを犯しても、他の人がそのことで罰を与えたり、自分を低く評価したりすることはない
  • ヘルプや情報、フィードバックを求めても、他の人が恨んだり罰したりすることはない


結果的に、上記のようなリスクを取る自信を育み、それによって学習から得られる関連した利益を得ることができる。


心理的安全性を高めるために

GoogleのreWorkでは、以下のように記載されている。

  1. 仕事を実行の機会ではなく学習の機会と捉える。
  2. 自分が間違うということを認める。
  3. 好奇心を形にし、積極的に質問する。

「効果的なチームとは何か」を知る - re:Work


リクルートMSでは、以下のように記載されている。

  1. 心理的安全性を体験できる仕組みをつくる
  2. 特定の人に偏らず発言できるようにする
  3. 何のために発言するのか共通した価値観を持つ
  4. アサーティブ・コミュニケーションを心掛ける
  5. 飲み会や食事会を実施する

心理的安全性とは - 人材育成・研修・マネジメント用語集 - Recruit Management Solutions


その他のサイトでも大概同じような事が書かれている。


テレビ番組のMCを真似てみる

MC(Master of Ceremony)とは、司会者であり進行役である。

番組の流れを把握し、テーマごとに区切って、ゲストやひな壇芸人からトークを引き出す。


アメトーーク』や『踊るさんま御殿』などを例に挙げると分かりやすいだろう。

一つのトークテーマをゲストやひな壇芸人に満遍なく振る。
話が盛り上がったら掘り下げたり他の人に振ってみたり、
話が脱線しそうになったら道筋を戻したり、
話が尽きたらトークテーマを変えたりなど、全体のファシリテートを行っている。


MCが全員の表情を見ながら、誰が話したそうにしているか、発言量が特定の人に偏ってないか、まだ話してない人はいないかなどを把握しながら、全員で番組を作り上げる。


無知だと思われても、無能だと思われても、否定的だと思われても、破壊的だと思われても、必ずMCが拾って適切な着地点を見つける。
そのためにはひな壇のガヤ芸人を使う事だってあるし、MCを補助するために裏回しが存在したりもしている。


仕事でも同じようにすればよい。

会議のファシリテーターである議長が全体を把握し、全員の表情や声色を見ながら会議を回していく。
発言してない人には名指しで振ってみたり、意見に偏りが出ないように反対意見を募ってみたり、話が盛り上がらなかったらトークテーマを変えてみたり。
自信がないのであれば、事前に参加者にネゴっておいて、裏回ししてもらうという手段も取れる。


テレビはオワコンだとか言われる事もあるが、テレビから学べる事はまだまだたくさんある。